FZ1000 Diary Part17 FZ1000 Diary Part18 The Index of FZ 1000 Diary HOME

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   浜松 Nov.18,06 by 山口
         
   
 久しぶりのツーリングである。

 娘の受験で1年以上まともに乗っていない。昨年、GSX-R1100はきっと500キロも走っていないだろう。鈴目からの誘いもあり、何のためらいも無く行くことにした。ここらでバイクと身体の表面に浮いたサビを落さないと、本当に芯まで錆が喰いこんでしまうと思ったからだ。

 仕事の忙しさもあり、ルート取りや、誰が合流するのかは考える余裕も無かった。行き先は浜松で、現地で呑端と合流ということだけ決まっていた。準備と言えば前日に急遽、バッテリー充電、オイル交換、チェーンにグリースをくれてやった。当日は、足柄SAの集合時間のほかは何も考えていない。

 朝、そっと起きて着替えていると、娘が起きてきて、眠そうな顔つきで「何処にいくの?」と訊ねる。「ちょっとバイクに乗ってくる」と答えると、「じゃーね」と呟いてまた寝床に戻っていった。7歳という一人娘のあどけない後ろ姿に、後ろ髪を引かれるが今日はバイクに乗る日である。

 07:15に出発する。合流地点までは余裕のはずだ。国1を南下し、10分足らずで出部の家の付近を通過する。周囲に出部らしき影がないことを確認し、先を急ぐ。彼は後発でも、追いついてくるだろう。

 国1を二宮で曲がり、秦野中井ICを目指す。東名に入ってしまえば足柄SAまでは目と鼻の先である。
 そういえば東名は大井松田の先で右コースと左コースに分岐している。足柄SA行きはどっちだ、と一瞬わけがわからなくなる。結局、追越し車線のまま右コースに入り、左右のコースが再び合流した先に集合場所があることに気づく。

 8時チョイ過ぎに足柄に到着、誰もいない。ぶらぶら時間をつぶし、朝飯を買って戻ってくると見慣れたFZが止まっている。主人の姿は無い。隣に真新しいGSX-R1000が寄り添っていたが、その時は特に気にならなかった。少し離れたベンチで食事を済ませた頃に鈴目が誰かと歩いている。ちょうど出部が到着したところで合流すると、GSX-R1000はひーさまの新車で、今回が馴らしツーリングだということを理解した。

 このメンバーとは1年半以上は会っていない。自分は髪が白くなり、新聞を読むには眼鏡が必要になった。みんなも少しずつ姿は変わっているが、空白期間を全く感じない。空白を埋める言葉を語らずとも、今まで走ってきた時間と快感を身体が忘れていないから自然と受け入れられるのだろう。

 同じGSX-Rという称号のバイクでも16年の差は計り知れない。こちらのGSX-Rはじゃじゃ馬な143PSに対し、扱いやすい178PSだそうだ。会話もほどほどに、焼津に向う。

 ひーさまの馴らしだと聞いていたので、先頭に陣取り、早めの車の後ろを流していると、痺れを切らした出部と鈴目が左から弾け飛んでいく。やっぱりこうなっちゃうのね? と思いつつも、自分もギアを1段落とし、アクセルが全開になっている。消え去ろうとするFZを追撃する。FZが前方車両を抜き去る前に一段落として加速する時に煙を吐いている。またエンジン載せ替えかぁー。

 焼津で東名を下り、一般道で浜松市内を目指す。

 11時に呑端と待ち合わせらしいが、間に合わない。FZ−新GSXR−旧GSXR−ZX12Rの順で進むが、FZの後姿から急げのオーラが出ている。すり抜けの連続で新車のひーさまは少し可愛そう。FZが1台抜いて、ひーさまが一息遅れて追いつくと、様子をみていたFZがまた1台抜いて先導する。

 浜松市内で何度か迷ったが、何とか昼には第二集合地点に無事到着。

 ヒルマンという洋食屋で、呑端とRANちゃん(お初)と合流し、ランチ。いつものことだが、出部は食うのが早い(職業がらか)。地元のRANちゃんから浜松の観光名所で、どこぞの植物園を教えてもらったが、残念ながらこの連中には縁遠い。食後のコーヒーまでおいしく頂いた。

 RANちゃんの見送りで、呑端(YZF-R1)を含め5台で出発。午前中の晴天は消え、西から雲が伸びてきている。確か、西から雨になる予報だった。例によって鈴目はカッパを持ってきていない。自分もロングの場合、大陸的な視点で天候の変動を見ないといけないことをすっかり忘れていた。(浜松に来て呑端に会う目的は果たしたから、早く帰りたいよ〜)

 これから市外地を抜け天竜に向うらしい。道は判らんが、ここまで来たら行くしかあるまい。出発前にリアのオーリンズの伸側ダンパーを2段弱める。じゃじゃ馬を少し操りやすくするためだ。サスの挙動が唐突だと飛びかねない。

 一般的に、5台になるとスルスルとは走れない。「3台目はそっと抜き」というあの銘句が思い出される。先頭3台と後続2台では、すり抜けや追い越しのタイミングが変わってくる。だが、この顔ぶれでは気にすることは無い。赤信号で引っかからない限りは勝手にガンガン進む。

 天竜川沿いの道を抜け、ワインディングに入るとリッターマルチの咆哮が響き渡る。自分のGSX-Rも2速から4速をフルに使い、クォータバイクのように右へ倒し、直ぐに起こして、左に倒すを繰り返す。コーナーの立上り毎にアクセル音がシンクロする。久しぶりの緊張で、左足の内腿がツッた。左足の加重が決まらず、手を抜いてパワーバンドを外すと置いていかれる。ここは踏ん張りどころ。相変わらず道はわからないが離されないように、とにかく追う、追う、そしてまた追う。

 走りながら思う。全世紀のバイクでも最高速を競わない限りは結構楽しめる。回さなくっても中速トルクがあるからエンジンが車体をゴリゴリ押し出してくれる。車体は重いけどサスが調整できていれば安定感になる。

 ワインディングを抜け、開けたところで休憩。ブランクの割には遊べた。
 タイトなワインディングでは、R1と新GSX-Rはわがままを言わずライダーの思い通りに動く(反則だよ)。意外だったのが、12Rはシフトのアップダウンとタイトな切返しは苦手なようだ(エンジンの出力特性が合わないのか?)。FZは、なぜあんな走りができるのか、やはり謎である。

 呑端と走るという全ての目的を達成し、ここが帰路への折り返し地点。
 後は、浜松に戻り東名に乗るだけ。もう少しワインディングが欲しかったが、復帰戦で多くを望んではいけない。

 ということで帰路に着く。浜松までの渋滞、東名入口ではぐれるやら、東名通行止めのタイムリミットなど予想外のハプニングもあったが、恐れていた雨にも降られず、結果良しであった。また走るべし。

 21:05帰着 走行距離 630Km。



   
   
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